悠久のうたかた

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help リーダーに追加 RSS F1エンジンの限界を考える(2)

<<   作成日時 : 2006/07/13 03:28   >>

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昨日は、エンジンのピストン、について主に書き、その素材はシリコン系アルミニウムが使われていると書きましたが、最先端のF1のエンジンが旧来の鍛造されたアルミ合金であるという確証はありません。
あっと驚く新素材が使われている可能性もあります。
ピストンに求められる素材は、軽量高強度で、耐熱性が有って熱伝導が優れていることが挙げられます。
熱伝導が優れている必要性は、昨日も書きましたが、燃焼温度が2000度にも及ぶレシプロエンジンでは、ピストンのクラウン表面はその熱のためにアルミ合金の融点に近い温度に達する部分が出てきます。
アルミ合金は640度付近で溶け始めてしまい、その少し手前の温度では、強度もかなり低下してしまいますから、強度を考えるとなるべく低い温度に保ちたいわけです。
そのために普通のエンジンでも、エンジンオイルをポンプで加圧し、クランクシャフトを中空に作って、その中にオイルを流し、コネクティングロッドに小さな穴でオイルを供給して、コネクティングロッドのくびれのあたりに小さな穴を開けて、オイルをピストンの裏側へ噴射して冷却しています。
エンジンオイルは高負荷時には130度Cほどに上昇しますが、それでも絶え間なくオイルを吹きかけてピストンの熱を下げ、ピストンが熱で破損しないよう、また、ヒートスポットが出来て、ノッキングなどが起きないように工夫されているわけです。

私は最先端のF1のエンジンの中を見たことはもちろんありませんから、どんな材料を使い、どんな形状で、どんな工夫がされているか、想像するほか無いのですが、F1のエンジンはもとより多くのレース用のエンジンはドライサンプと言って、一般の車のエンジンのほとんどが採用するウエットサンプとは違った潤滑方式をとっています。

航空機(特に戦闘機)では宙返りや背面飛行、急降下、垂直上昇、とエンジンオイルがクランクケース下部に溜まるウエットサンプでは、成立しなかったことも有って、航空機のエンジンでは常識化していたドライサンプが、強いGが全方向にかかるレーシングカーの確実な潤滑に使われるのはごく自然な成り行きだったわけです。

ただドライサンプのエンジンと言うのは一般にはほとんど見かけることは無く、一部の2輪車に使われていますが、航空機用のドライサンプとはかなり異なって、その目的が単に低重心化であったり、オフロード走行のためオイルパンが邪魔となったり、運動性が高い準競技用以上のオフロードバイクでは操縦姿勢が極端に変化することで、オイルパンにエンジンオイルを重力で溜める方法ではトラブルが起きることになって、そうしたレイアウトが選ばれてきたので、クランク室内部はウエットである場合も多く、単にオイルパンを薄く作り、オイルタンクを別置きレイアウトにしている、アキュームレーション式ウエットサンプと言うべき形式も多いのです。

今回のF1エンジンは完璧な潤滑でエンジンのフリクションを最小限にし、燃焼熱による温度上昇が問題となる部分のすべてに、充分なオイルを供給し、内部的には油冷エンジンと言って差し支えないほどエンジンオイルによる冷却が絶対的な必要条件となっているはずなので、航空機とほぼ同様な完全なドライサンプである可能性もありますがシリンダーのピストンリングや、ピストンピン、ピストンクーリングに使うオイルをどのように回収しているのか、見ていない私には判らないのです。
ただ可能性としてはコネクティングロッド全長にオイルギャラリーを設け、ピストンピンまで強制的にオイルを送れるならばピストンにオイルギャラリーを設けて、ピストンピンの潤滑後のオイルを使ってピストンクラウンの冷却も強制的に出来るし、そのオイルを最終的にピストンリング部分に開放してシリンダー内壁と、ピストンリングの潤滑までがすべて圧送で行えることになり、ウエットサンプに比べればより確実な潤滑と言えるので、私は、そのような方法を使っているのではないかと想像しているわけです。

さらに考えられるのは新素材で、たとえば窒化アルミニウムや、アルミナ系のセラミックスでピストンが作れれば耐熱、高強度熱伝導などの問題をクリアして非常に軽く出来る可能性もあり、一般的なシルミンにプラズマを当てて表面に強靭な窒化膜を形成する技術も使えるかもしれないし、ディスクブレーキのカーボンを見ているとピストンも作れないのだろうかと思えてくるのです。
エンジンの中はさすがにトップシークレットでしょうからメーカーの開発者か管理職の僅かの人しか知ることが出来ない秘密に満ちている訳で、本当に興味の尽きない部分なのです。

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